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国立大学法人群馬大学情報学部・情報学研究科
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教員紹介

嶋田 香教授

嶋田 香
専門分野

データ科学、知能情報学

経歴

出身地: 茨城県
学歴/学位: 早稲田大学理工学部応用物理学科,筑波大学大学院医科学研究科/修士(医科学),早稲田大学大学院情報生産システム研究科/博士(工学)
研究室: 8号館302
所属学会: The Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE),情報処理学会,日本統計学会,計量生物学会、日本分子生物学会
専門分野: データ科学、知能情報学
担当科目: 多変量解析、融合型PBL、ゼミナール、卒業研究など

研究概要

進化、免疫、群知能といった生物界にみられる種々のメカニズムを参考にした新しい情報処理技術に関心をもっており、大規模化・複雑化するデータの分析に役立つアルゴリズムやその応用法を研究している。

研究内容

  • 大規模データからの知識発見手法の開発
  • 進化計算手法のデータマイニングへの応用
  • 個別性、説明性に注目したデータ分析

現在の研究テーマ

  • 大規模データからの個別性や説明性に注目した知識発見方法の開発発
  • 欠損値を含むデータに対応したルールベースのデータマイニング手法の研究
  • 進化、免疫など生物界にみられる種々のメカニズムを参考にしたデータ分析手法の研究析

代表的な研究業績

・Kaoru Shimada, Hisae Aoki, Keiko Kubota, Satoru Haresaku, Shinsuke Mizutani, Toru Naito, Michio Ueno, Exceptional association rule set discovery from community-dwelling elderly people database, Proc. of the 2018 IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics, 2018, pp.3285-3290
・Kaoru Shimada, Takaaki Arahira, Takashi Hanioka, Association rule-based classifier using artificial missing values, Lecture Notes in Computer Science (LNCS) (Advances in Data Mining) Vol.10357, 2017, Springer, pp.57-67
・Kaoru Shimada and Takashi Hanioka, An evolutionary method for associative contrast rule mining from incomplete database, Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics, 19(6), 2015, pp.766-777

専攻分野・研究内容紹介

データマイニングは、大規模なデータがあるときに、統計学やパターン認識、人工知能等のデータ解析の技法をいろいろと使ってみることで有用な情報を取り出そうとする技術です。簡単にいえば、データの山からの宝探しです。少し調べてもらうとわかりますが、そんなことが実際にできるのかと驚いてしまうような技術が多様に開発されていますし、これらを利用可能なソフトウェアもみつかることでしょう。
データマイニングを研究テーマとする場合、大きく2つに分けて考えることができます。
一つ目は技術自体を新しく生み出したり改善・拡張したりする研究開発をしようするもの、二つ目は実際のデータに対してデータマイニングを実施することで何かしらの課題を解決しようとするものです。

世の中には、すごいことができるものだと感心してしまうような技術がある一方で、とても簡単そうに見えるのに案外難しいこともあるものです。データの扱いでも簡単そうで難しいことがまだたくさんあります。例えば、小売店の売上に関するデータで、ある商品を購入しようとしていたのに品切れで購入できなかった場合です。結果としてはこの商品を購入しなかったことになりますが、購入する意思はあったはずです。この商品と組合せで購入されるものは何かを分析しようとしていた場合は、欠損値(欠落値・欠測値)としての扱いが必要になりそうです。あるいは、アンケートの質問に1つだけ答えていない、この日だけ測定していないというようなこともありえます。購入商品や質問への回答のようなデータの属性(データの項目)の組合せがどの程度の頻度で起こっているかに注目したデータマイニングを実施しようとすると、こうした欠損値の扱いは案外厄介な技術上の課題となります。私たちは、こうした課題の解決に応用できる手法(技術)として、進化する人工的な生き物をコンピュータの中につくり、親から子、孫へと世代継続的に課題を解決していくことを特徴とする独自のデータマイニング手法を提案しています。また、関連する手法として、時系列データからの属性の組合せに関するデータマイニングや、例外や差異を発見しようとする柔軟な条件を設定可能なデータマイニングを実施する手法をこれまでに提案しています。

私は大学院修士課程では医科学専攻で免疫学研究室に所属していたのですが、そこでは造血幹細胞の細胞膜上に発現する機能分子の探索を行う分子生物学的な実験に没頭しました。情報学とは一見すると関係がないようにも思われますが、進化、免疫、群知能といった生物界にみられる種々のメカニズムを参考にした新しいデータ分析技術の開発という点からみると、そこで学んだことが基礎となり、研究の土台となっています。今後、医科学の分野の大規模で複雑なデータからのデータマイニングの実施に役立つような、医科学の分野からの知見を参考にした自由な発想に基づいたデータマイニングの技術開発ができればと考えています。

実際のデータに対してデータマイニングを実施しようとする場合には、技術上の問題だけでなく、そのデータの背景やデータマイニングの目的の理解が大切になります。例えば、データの中には体重や血圧などのように連続的な値をとるものがありますが、分析にあたってある値を境目に決めて区切り、大きい/小さい、高い/低いのように分けて扱うことがあります。どこで区切るかで分析の結果に影響がでてきそうですし、何らかの判断・意思決定をしなくてはならないときはなおさらです。このような場合には、そのデータの持ち主やその分野の専門的知識を有する方々との連携が必要になります。データは、通常、ある目的やデザインによって集められますので、そのことを理解できるための準備も必要となるでしょう。情報学部には、社会科学系・人文科学系をはじめとする幅広い分野を専門とする先生方が所属されていますが、このことは、学生がデータマイニングだけでなくデータサイエンスを学ぶための環境としてとても恵まれたものと思います。

私は本学に着任する前に、私立大学の看護学部・歯学部で10年ほど統計分析法や情報処理実習などの授業を担当するとともに、医療系データを中心としたデータ分析の研究にかかわってきました。そこではwell-beingやQOLといった個別性が注目されるデータ分析や、行動や判断のための説明性を求められるデータ分析が求められていました。データマイニングを研究することはデータそのものの理解を深めること、データに基づいた課題解決の本質的なところの理解を深めることににつながるものと考えています。今後は、個別性や説明性をキーワードとした人工知能の応用を含めた高度なデータマイニングについても取り組んでいきたいと考えています。


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