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国立大学法人群馬大学情報学部・情報学研究科
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教員紹介

小竹 裕人教授

小竹 裕人
専門分野

公共政策論(経済学),政策評価

経歴

出身地: 東京都新宿区
最終学歴/学位: 経済学修士,博士課程満期退学
研究室: 10号館503
所属学会: 日本計画行政学会(JAPA),地理情報システム学会(GISA),公共選択学会,日本社会情報学会(SSI),日本経済政策学会
専門分野: 公共政策論(経済学), 政策評価
担当科目: 政策情報論,公共政策論,政策分析,公共システム特論など

研究概要

影響の範囲が狭い公共サービスは公平性の観点から実施が疑問視されてきました。でも地域では買い物弱者問題などが顕在化しています。公平性とのバランスを考え局所的な課題解決のための政策研究を行っています。

個人ページ:https://www3.si.gunma-u.ac.jp/wp/kotaken/

研究内容

  • 公平性と多様性に政策はいかに応えるか
  • 政策立案過程に関する研究
  • 政策効果に関する研究

現在の研究テーマ

  • 公平性と多様性に政策はどう応えるか:低速電動バスの社会実装の社会的効果に関する研究
  • 政策立案過程に関する研究:市民ニーズと政策との整合性に関する研究
  • 政策効果に関する研究:公共部門の効率化方策の研究および実践

専攻分野・研究内容紹介

研究に至った背景

東京から群馬に来て長いこと経ちました.群馬に住んでいると東京は異常であること,東京の「引力」がとてつもなく強力であることに気づかされます.多くの人的資源は東京に吸収され,商品やサービスを購入すると,そのお金は地元ではなく東京へと吸収されていくのです.地方からの人的資源や物やサービスの供給なしに東京は成り立ち得ません,だからといってこの変化の激しい社会の中で地方は東京からの交付税に強く依存し続けることは難しいでしょう.地方が少ない資金で政策を効率的に進めるためには,効率的な運営とともに市民の協力が不可欠となっています.市民でできることは市民が,市民ができないことは公共部門がという具合にきちんとすみわけをすることが必要です.

組織同士や人同士の結びつきが強い地域では,政策が効果的に進むと言われています(社会関係資本:ロバート・パットナム).地方では社会関係資本が豊富にあるわけですからそれを活かしていかない手はありません.自ら考え協力し地域を協力し,さらには資源・資金・人材の地産地消していくことで,地域の足腰を強めていくことが重要と考えます.

高等教育への政策選択に関するシミュレーション

受験生は授業料や生活費の高低・親の支援や奨学金の有無・大卒と高卒の生涯賃金の差などから大学に行くメリットとデメリットを比較考量し大学進学するかどうかを決めます.受験生の親は,こどもを大学に進学させる資金力があるか,大学に行かせることを当然と捉えているか,その背景には国全体の経済状態がどうであるか,が関係してきます.大学は,入学金・授業料・検定料・OBGからの寄付金・国からの補助金が関連します.大学は,授業料を高くすると学生が逃げるので,授業料は戦略的な変数となります.その他,大学のブランド(OBG数),大学の教育の質(学生一人あたりの教職員数),高校卒業者数,文科省の政策転換などを考慮して,一本ずつデータからモデル化します.

このように作成した連立方程式体系を数十年のデータを使ってきちんと動くか確認します.上手く動いたらこの連立体系モデルを政策選択に使います. 国が奨学金を増やしたらどうなるだろう,国が大学の定員を厳密に制限したらどうなるだろう.シミュレーションの結果,奨学金よりも定員管理をしっかりさせる(定員よりも多くの学生を合格とさせない)ことが結局は大学にとっても大学生が希少価値を持ち,国にとっては政策のコストが低く望ましい政策であることがわかりました.

eCOM-8という技術の社会実装

約10年前から,理工学部の研究グループと低速電動バスeCOM-8の社会的効果に関する研究を行っています.低速電動バスは,群馬県桐生地域ではMAYUとして有名です.たかだか時速20KMしか出ませんが,それによるメリット(死亡事故がほぼ起こらない,車体の設計の自由度が上がる)が上回ります.eCOM-8は群馬県内に多く走っていますが,日本各地で使われています.池袋のIKEBUSはeCOM-10をカスタマイズしたものです.技術面は理工学部の先生方やメーカーにお任せし,eCOM-8を人口密度の薄い地域で社会実装し,その効果を検証しました.その結果,外出頻度が多くなることで,会話や笑顔の頻度が高まったことがアンケートからわかりました.これは,着座位置が会話をしやすい距離にあるかを一般車両とeCOM-8についてシミュレーションした結果からも裏付けされるものでした.人口が少ない地域でeCOM-8を活用するための資金を行政が負担することの是非(公平性と多様性に政策はいかに応えるか),法律上の制約があり運賃を取ることが難しい,など,まだまだ課題があります.


左の写真はeCOM-8^2,右図は車いす利用の乗客からの会話の距離


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