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国立大学法人群馬大学情報学部・情報学研究科
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教員紹介

片山 佳代子准教授

片山 佳代子
専門分野

疫学/ 臨床統計学/ 社会医学

経歴

学位:博士(医学)順天堂大学大学院医学研究科疫学・環境医学
研究室:情報学部8号館313研究室
所属学会:日本疫学会、日本癌治療学会、日本公衆衛生学会、日本がん登録協議会
専門分野:がん疫学(疫学上級専門家)、臨床疫学、社会医学、健康行動科学
担当科目:調査・実験デザイン、確率統計演習、学びのリテラシー2(データの利活用)

■ 個人ページ:https://gunmadaigaku-kk.inf.gunma-u.ac.jp/

研究概要

ビックデータの1つであるがん登録データの利活用をはじめ、様々なヘルスデータの統計解析結果をどのように社会に還元するか、わかりやすい情報発信のあり方までを研究している。

研究内容

  • 罹患率や生存率などのがん統計データを使ったがん疫学研究ならびにがん対策に関する研究
  • 子宮頸がんの予防啓発研究やがん教育に関する研究
  • SNSや相談支援センター等に寄せられるナラティブデータのテキストマイニング等の質的研究

現在の研究テーマ

  • がん統計や指標の策定と効果的ながん情報発信のあり方について
  • 唯一予防可能ながん「子宮頸がん」予防啓発研究(がん教育)
  • PPI(Patient and Public Involvement)の推進に関する研究

代表的な研究業績

・Katayama K, Narimatsu H. Prediction of female breast cancer incidence among the aging society in Kanagawa, Japan. PLoSONE. 2016 Aug 17;11(8):e0159913.
・Katayama K, Higuchi A, Yamamoto H, Ikeda A, Kikuchi S, Shiozawa M. Perioperative dynamics and significance of plasma-free amino acid profiles in colorectal cancer. BMC Surg. 2018 Feb 21;18(1):11.
・Katayama K, Ishikawa D, Miyagi Y, Takemiya S, Okamoto N, Ogawa A. Qualitative analysis of cancer telephone consultations: Differences in the counseling needs of Japanese men and women. Patient Educ Couns.2020 May 16;S0738-3991(20)30278-0.
・Ueda Y, Katayama K, Yagi A, Tadashi Kimura. The chasm we must cross in Japan for re-promotion of the HPV vaccine. Cancer Prevention Research. DOI: 10.1158/1940-6207.CAPR-21-0091.2021 May
・片山佳代子.ピア・エデュケーションによる子宮頸がん教育.思春期学. 39(2) ,217-223, 2021.
・石川大介、片山佳代子.質的分析に基づいたテキストマイニングによるがん電話相談からの主訴の抽出と可視化.医療情報学. 42(2), 47-59, 2022.

 

専攻分野・研究内容紹介

疫学とは

疫学の疫という漢字は「感染症」を表していて文字どおり従来は感染症の流行形式を明らかにする学問でした。疫学を英語では「epidemiology」といいますが、epi は「上に=upon」、demiは「民衆」、ologyは「学問」を意味していて、民衆の上で何が起こっているのかを明らかにする学問というのが直訳です。つまり当時の人々の健康を脅かす問題は感染症だったため(現代のcovid-19もそうですね)感染症をメインに扱う学問領域だったわけです。人類は感染症と闘いながらそれを制圧、あるいは共存しながら封じ込めてきました。そして現代人の健康状態をみると、肥満や運動不足、食生活の乱れなど様々な生活習慣病がまん延しています。中でも日本人の死因第1位である「がん」は、まさに現代人の上で起こっている疾患であり、がん疫学はメジャーな分野です。

ヘルスデータと疫学

疫学は「人間集団における健康状態とそれに関連する要因の分布を明らかにする学問」と定義できます。 世界的にみても「循環器疾患の疫学」と「がんの疫学」はメジャーな学問領域ですが、日本ならではの長寿の疫学や運動疫学、健康増進の疫学なども盛んに研究されています。
そして最も疫学のカッコいいところは、原因(因果関係)が確立していなくてもデータによって疾病の予防が可能な点にあります。疫学の父として知られるJohn Snow(1813-1858年)のロンドンにおけるコレラの流行を食い止めた事例はそれの最たるものでしょう。彼は、当時まだコレラ菌が発見される30年前にもかかわらず、コレラ患者の分布図を作成することで危険因子である井戸を発見し封鎖した功績が認められています。こうした地図上に患者をプロットするという手法は、現代では地理疫学として発展しています。GIS(地理情報システム)を使って、患者の居住地をプロットし集積性を可視化することで情報の関係性、パターン、傾向をわかりやすく伝達することができます。
そして、がん疫学の領域では「がん登録」データが必須となります。2016年にようやく日本での法制化が整い悉皆性のあるがん登録データが集計できるようになりました。今後はがん登録データをいかに利活用し、その他のヘルスデータとリンケージしていくかが大きな鍵となりそうです。

データ解析とその先へ

世の中には様々なデータがあります。ヘルスデータも至るところで蓄積されていますが、それらのデータを単に統計学的手法を使い解析するだけが最終目的ではないはずです。得られた科学的根拠のある情報や結果をいかに必要とする人たちへ届けるか、単に正確な数値だけにこだわればいいのか等、データサイエンス教育では、受け取る側の気持ちや想いを想像することも大切だと私は考えています。そして文理融合型の情報学部だからこそできる学びがあると思っています。


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