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国立大学法人群馬大学情報学部・情報学研究科
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教員紹介

平田 知久准教授

平田 知久
専門分野

近・現代思想史、比較社会学、社会史

研究概要

東(東南)アジアの情報メディア技術の普及と伝播のあり方を、各国の比較と歴史的変遷から描写し、未来の情報社会の姿をメディアや技術に関する近・現代の思想的背景を考慮に入れながら提示することが研究の主眼にあります。

研究内容

  • メディア技術、情報、利用の展開と影響に関する歴史的/実証的研究
  • アジア諸国/諸都市のメディア利用に関する比較社会学的研究
  • メディアと思想/社会哲学の連関に関する研究

皆さんはパソコンとインターネットに初めて触れたときのことを覚えていますか?

私がパソコンとインターネットに最初に接触したのは,1995年(平成7年)でした。当時私は高校に入って間もない頃で,友人宅でオンラインの麻雀ゲームをしたのが最初です。でも,このときの私は,パソコンとインターネットを「遠くにいる人と一緒にゲームができる機械」としか認識していませんでした。その頃の私にとって,パソコンとインターネットは「ゲーム機の延長」という意味しか持っていなかったのです。

私が初めて「パソコンとインターネットとはこういうものか!」と認識したのは,そこから少し時代が下った1999年のことです。最初のデスクトップパソコンを(上記の友達の勧めで)組立キットとして購入しました。その友人と格闘すること5~6時間,ようやく完成した段階で,その友達は「終わったな。じゃあ,またな」と私を放置して帰っていきました。

当時を振り返ると,「何と不親切な友人なのか」とは思いますが,今私がここにいるのは彼のおかげと言えるのかもしれません。「ウィーン,カタカタ……」という音を立てつつ,なかなかご機嫌に起動している「初めてのマイパソコン」を前にして途方に暮れた私が最初にやったことは,画面に表示されている「マイドキュメント」を恐る恐るダブルクリックして,「新しいフォルダ」を作成し(出来上がったフォルダを見てかなり満足したのを覚えています),その新しいフォルダをまたダブルクリックして,そこでさらに「新しいフォルダ」を作成し……,ということを,延々10回ほど繰り返す,ということでした。

とてつもなく馬鹿馬鹿しい使い方ですね(実際,こうして作られたフォルダはその後すぐにゴミ箱に捨てられるという憂き目に合いました)。ですが,私はこの経験があって,やっとパソコンが「情報を収集し,弁別し,処理する機械」なのだと知り,その延長上の情報収集ツールとしてインターネットがあると認識しました。改めて考えてみると,このとき私は,パソコンとインターネットに「出会いなおした」のだな,と思います。なぜなら,情報メディア技術に対する接し方が,このときを境にそれまでとは違ったものになったからです。

私はこれまで様々な研究領域(近・現代思想史,メディアの社会史,アジア地域の比較社会学)を渡り歩いてきましたが,その中で変わらなかった認識(考え方)の一つは,ここまでに述べてきたような,実際に情報メディア技術に触れて何かを行うとき,情報メディア技術に対する意味づけが変わる可能性があるということ,あるいは情報メディア技術を用いながら人間や社会について考えてきた人々がいるということです。そして,この考え方を過去に対して適用したものが「社会史」,現代のアジアに適用したものが「メディア利用の比較社会学」,それらを踏まえつつ,情報メディア技術を自らの思想に生かした人々について考える際には「メディアと思想/社会哲学の関係」という,私の3つの研究テーマになります。

ただ,上のような説明だけでは,具体的にどのようなことをしているのか,よく分からないという人もいるでしょう。
ですので,私がこの10年来実施してきた研究テーマ,アジアのインターネットカフェ調査について,ごく簡単に紹介しておきます。次の写真は9月のとあるアジアのインターネットカフェで,私の調査を手伝ってくれた留学生が撮影してくれたものです。

皆さんはこの1枚の写真を見て,ここがアジアのどの都市のインターネットカフェなのか分かるでしょうか?

答えは香港です。では,どこに注目すればここが香港だと分かるのか。それについては,私の授業を受けるか,私の研究室まで直接尋ねにきて下さい。どのようなパソコンやインターネット環境が,どのような場所で,どのような人々に,どのようなかたちで提供されているかが,アジア各国の大都市のインターネットカフェで大きく異なっていたということ,そしてアジアの社会が急速に変容しつつある中に,スマートフォンなどのモバイルメディアが普及する過程で,多様なメディア利用が生み出されていることをお話できると思います。

私の現在の研究関心は,その違いを現地での調査によって明らかにし,そのような違いが起こる社会的な原因を考えることで,それぞれの社会の特性と日本を含めた今後のアジア各国の社会情報環境を展望することにあります。


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